消化器内科

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消化器とは、口から肛門まで1本の長い管でつながっている消化管(その中には、食道、胃、小腸、大腸などが含まれる)と、消化管の働き(消化・吸収)を助ける臓器(肝臓、膵臓、胆のう)のことをいいます。

当診療科は、これらで起きたとされる症状や病気について、診察、検査、治療を行っていきます。

よくみられる症状には、腹痛、吐き気・嘔吐、下痢などがあります。
これらの多くは一過性のケースが多いのですが、なかには重篤な疾患の一症状ということもあります。
したがって、あらゆる可能性を考慮しながら診察を行い、必要であれば検査もするなど総合的に判断していきます。
当院で行う検査としては、X線撮影をはじめ、腹部超音波(腹部エコー)、CT、内視鏡(胃カメラ、大腸カメラ)などがあります。

消化器内科を受診する患者様によくみられる症状

  • 便潜血検査で陽性と判定された
  • 便通異常(下痢、便秘)が続いている
  • 血便が出ている
  • 胃もたれや胸やけがする
  • 腹痛、もしくはお腹にハリがある
  • 吐き気・嘔吐がみられる
  • 食欲不振である
  • 体重が減少している
など

下痢

水のような便が何度も出る、腹痛を伴う、食後すぐにトイレに行きたくなるといった症状は、腸の機能異常や感染症の可能性があります。
一時的な食あたり・ウイルス性腸炎のほか、過敏性腸症候群(IBS)潰瘍性大腸炎クローン病など慢性的な病気が隠れていることもあります。

次のような場合は受診を

  • 下痢が1週間以上続く
  • 血が混じる・発熱を伴う
  • 体重が減ってきた
  • 便秘と下痢をくり返す

生活リズムや食事内容の影響も多いため、症状の経過を詳しくお聞きし、必要に応じて便検査や内視鏡検査を行います。

便秘

3日以上便が出ない、便が硬い、残便感がある、お腹が張るといった症状がある場合は消化器内科へ。
単なる生活習慣だけでなく、腸の動きが低下する「機能性便秘」や、大腸ポリープ・がんなどが原因の場合もあります。 お気軽にご受診ください。

血便

便に赤い血が混じる、黒っぽい便が出る場合は、出血の場所や原因を明らかにすることが大切です。
痔(じ)による出血のほか、大腸ポリープ潰瘍性大腸炎・大腸がんなどが原因のこともあります。

黒い便の場合
胃や十二指腸など上部消化管の出血(潰瘍など)の可能性があります。
赤い血が混じる場合
大腸や肛門に近い部分の出血が考えられます。

見た目だけでは判断できないため、大腸カメラ検査で原因を調べることをおすすめします。

胃痛

みぞおちの痛み、チクチク・キリキリする痛みは、胃炎・胃潰瘍十二指腸潰瘍逆流性食道炎などの可能性があります。
ピロリ菌の感染が関係していることもあり、検査で確認が可能です。

次のような場合は受診を

  • 食後や空腹時に繰り返す痛みがある
  • 吐き気・胸やけ・体重減少を伴う
  • 痛みが長引く、または突然強くなった

胃カメラ検査により、胃の粘膜の状態やピロリ菌感染の有無を調べることができます。

胃もたれ

食後にお腹が重い、すぐ満腹になる、ゲップや膨満感がつらい…といった症状は、胃の働きの低下や胃酸過多が関係していることがあります。
原因はさまざまで、ストレス・食べすぎ・加齢・薬の影響・ピロリ菌感染などが挙げられます。

改善のために

  • 少量ずつ食べる・よく噛む
  • 夜遅い食事や脂っこいものを控える
  • 胃の動きを助ける薬や、胃酸を抑える薬を服用

慢性的に続く場合は、内視鏡検査で胃の状態を確認します。

便潜血検査陽性

健康診断や検診で「便潜血陽性」と言われた場合は、大腸カメラ検査による精密検査が必要です。
潜血とは、目には見えない少量の血液が便に混じっている状態で、大腸ポリープ・炎症・がんなどが原因のことがあります。
1回だけの陽性でも、念のための検査が推奨されます。
早期発見・早期治療のため、早めにご相談ください。

吐き気・嘔吐

胃や腸の不調、ストレス、食あたりなどが多い原因ですが、胃潰瘍・胃炎・腸閉塞・胆のうやすい臓の病気など重い疾患が隠れていることもあります。

次のような場合は受診を

  • 吐いたものに血が混じる
  • 発熱・強い腹痛を伴う
  • 嘔吐が止まらず水分も取れない
  • 高齢者や子どもでぐったりしている

血液検査・腹部エコー・内視鏡検査などで原因を調べ、適切な治療を行います。

胸のつかえ感

食べ物が胸のあたりで止まる感じや、のどから胸にかけて違和感を感じる症状です。
逆流性食道炎や食道の動きの異常、食道裂孔ヘルニア、ストレスによる筋肉の緊張などが主な原因です。
まれに、食道や胃の腫瘍(がんやポリープ)によって通りが狭くなっている場合もあります。

次のような場合は受診を

  • 食べ物や飲み物が飲み込みにくい
  • つかえ感が長期間続く・徐々に強くなる
  • 胸の痛み、声のかすれ、体重減少を伴う
  • 胃もたれや胸やけを繰り返す

内視鏡検査で食道や胃の状態を確認し、逆流性食道炎や腫瘍性疾患などの有無を調べます。
原因に応じて、胃酸を抑える薬や生活指導などの治療を行います。

消化器内科で扱う主な疾患

逆流性食道炎、食道カンジダ症、急性胃炎、慢性胃炎、胃・十二指腸潰瘍、ピロリ菌感染症、機能性消化管障害、感染性胃腸炎、急性腸炎(虫垂炎、憩室炎、虚血性腸炎 等)、便秘症、下痢症、過敏性腸症候群(IBS)、クローン病、潰瘍性大腸炎、脂肪肝、急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変、胆石、胆嚢炎、胆嚢ポリープ、急性膵炎、慢性膵炎、食道がん、胃がん、大腸がん、肝がん、胆嚢がん、膵がん など

逆流性食道炎

胃の中の酸(胃酸)が、食道の方へ逆流してしまうことで、食道の粘膜に炎症が起こる病気です。
代表的な症状は「胸やけ」や「のどの違和感」、「酸っぱい液が上がってくる感じ」などです。
原因としては、食べすぎ・脂っこい食事・夜遅い時間の食事・肥満・ストレス・加齢による筋力低下などがあげられます。
治療は、胃酸の分泌を抑える薬や、食生活の改善(就寝3時間前以降の飲食を避ける、食後すぐ横にならない、刺激物を控えるなど)で多くの場合は改善します。
症状が長引く場合や繰り返す場合は、食道が傷ついている可能性があるため、胃カメラ検査を受けることをおすすめします。

胃潰瘍

胃の粘膜が胃酸などによって深く傷つき、潰瘍(かいよう)ができる病気です。
主な症状は、みぞおちの痛み、食欲不振、吐き気、黒っぽい便(出血による)などです。
原因は、ピロリ菌の感染、鎮痛薬(NSAIDs)などの薬の長期使用、ストレス、喫煙・飲酒などがあります。
治療は、胃酸の分泌を抑える薬や、ピロリ菌がいる場合は除菌治療を行います。再発を防ぐためには、生活習慣の見直しも重要です。

十二指腸潰瘍

胃の出口からつながる「十二指腸」という部分の粘膜に潰瘍ができる病気です。
特徴的なのは「空腹時や夜中にみぞおちが痛くなる」という症状です。食事をすると一時的に痛みが軽くなることがあります。
ピロリ菌の感染が主な原因で、胃潰瘍と同様に胃酸の影響も関係しています。
治療では、胃酸の分泌を抑える薬や、ピロリ菌がいる場合は除菌治療を行います。再発しやすいため、治療後のフォローアップも大切です。

過敏性腸症候群

腸の検査をしても異常が見つからないのに、「お腹の痛み」「下痢」「便秘」などが繰り返し起こる病気です。
ストレスや生活リズムの乱れ、自律神経のバランスの崩れが関係していると考えられています。
症状のタイプは、「下痢型」「便秘型」「混合型」があり、人によって異なります。
治療では、生活リズムの改善、ストレスのコントロール、整腸剤や腸の動きを整える薬などを使います。
一人で抱えず、つらい症状が続くときは早めにご相談ください。

潰瘍性大腸炎

大腸の粘膜に炎症や潰瘍ができる慢性の病気です。
主な症状は、「血の混じった下痢」「腹痛」「発熱」「体重減少」などです。
はっきりとした原因はまだ解明されていませんが、免疫の異常や遺伝的な要因、腸内環境の変化などが関係していると考えられています。
薬によって炎症を抑える治療を行い、症状が落ち着いた状態(寛解)を保つことを目指します。
再燃と寛解をくり返すことが多いため、長期的な管理が必要です。

クローン病

口から肛門までのどの部分にも炎症や潰瘍が起こる可能性がある慢性の腸の病気です。
腹痛・下痢・体重減少・発熱などが続くことがあります。
発症の原因はまだ明確ではありませんが、免疫の異常、遺伝、食生活、腸内細菌の関与などが考えられています。
治療は、炎症を抑える薬を使い、症状を落ち着かせることを目標にします。重症の場合や合併症がある場合は、外科的治療を検討することもあります。
若い世代で発症することが多く、長期的なフォローが必要です。

大腸ポリープ

大腸の粘膜の表面にできる小さな“いぼ”のような隆起です。
多くは良性ですが、種類によっては放置すると大腸がんに進行することがあります。
自覚症状はほとんどなく、健康診断や内視鏡検査で偶然見つかることが多いです。
内視鏡検査でポリープが見つかった場合は、その場で切除することが可能です。
定期的な大腸カメラ検査で早期発見・早期治療を心がけましょう。

ピロリ菌
(ヘリコバクター・ピロリ)

胃の粘膜にすみつく細菌で、胃炎・胃潰瘍・十二指腸潰瘍・胃がんなどの発症に関係しています。
感染経路ははっきりしていませんが、幼少期に家族からの経口感染(口移しなど)でうつると考えられています。
ピロリ菌に感染しているかどうかは、呼気(息)・血液・尿・便・内視鏡検査などで調べることができます。
感染が確認された場合は、抗菌薬と胃酸を抑える薬を使った「除菌治療」を行います。
除菌に成功することで、潰瘍の再発防止や胃がんのリスクを下げることが期待できます。

便秘外来

便秘のご相談もお気軽に

便秘について悩まれている方もお気軽にご受診ください。
そもそも便秘とは、体外に排泄されるべき糞便が十分に出し切ってない、あるいは便が出せない状態にある場合と定義されています。

この便秘状態を続けていくと、腹痛やお腹のハリだけでなく、肌が荒れる、痔になりやすい、食欲不振などがみられるようになります。
さらに放置が続けば、腸閉塞、腸管穿孔、閉塞性腸炎などの重篤な大腸の病気を発症することもありますので、早めに当院をご受診されるようにしてください。

以下の症状があれば一度ご相談ください

  • 便が出ない状態が何日も続いている
  • 排便の際にいきむなどして時間がかかる
  • 常に残便感がある
  • 腹部に痛みやハリが慢性的にある
  • 下剤を服用しているが便の出がよくない
など

原因は多岐にわたる

なお便秘の原因につきましては、ひとつとは限りません。
例えば、日頃の食生活や運動不足など生活習慣の影響によって起こることもあれば、加齢やストレスからくる腸の働きの低下から発症することもあります。
また、大腸に形態異常がみられる、あるいは腫瘍が発生しているなど器質的疾患の場合もあるほか、糖尿病(糖尿病神経障害)や内分泌疾患(甲状腺機能低下症、副甲状腺機能亢進症)の一症状としてもみられます。
上記以外にも、薬剤の使用による副作用ということもあります。

便秘の原因を調べるにあたって、当院では問診や触診をはじめ、血液検査や便検査等の一般検査のほか、腹部エコー(腹部超音波検査)、下部消化管内視鏡(大腸カメラ)などによる検査を行うなどして、診断をつけていくこともあります。

治療に関して

便秘の症状や原因によって治療内容は異なります。 たとえば食生活など日頃の生活習慣によるものであれば、食物繊維が豊富な食品(きのこ、海藻類、果物 等)を積極的に摂取するほか、水分を十分にとったり、腸を刺激するために適度な運動を行ったりします。

また加齢やストレスなどが原因とされる便秘では、整腸剤を用いるなどして腸を整えていきます。

なお何らかの疾患による一症状として便秘が起きている場合は、原因疾患の治療を優先していきます。