胃がんや胃ポリープをはじめ、胃粘膜の炎症や潰瘍などの病変を早期に発見するのに適しているのが上部消化管内視鏡検査です。
同検査は一般的には胃カメラと呼ばれており、同検査機器はシステム本体と検査中にカメラの位置などをコントロールする操作部に大きく分類されます。
この操作部の細長いチューブ(スコープ)の先端には、撮像素子(CCD)や照明、物を吸引したり挟んだりするための孔などが搭載されています。
検査時は、操作部の細長いチューブの先端を鼻及び口から挿入することで、食道、胃、十二指腸などの内部の様子が観察できるようになります。
検査中は上部内視鏡のCCDが捉えた映像をシステム本体のモニタを通して、それぞれの部位を確認できるようになります。
何らかの病変が疑われる場合は、一部の組織を内視鏡で採取し、顕微鏡で詳細を調べる生検を行うこともできます。
ピロリ菌検査も行います
またピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)の感染が疑われる患者様につきましては、当院で上部内視鏡(胃粘膜の一部を採取)を用いた検査も可能です。
その結果、陽性との判定を受けた場合は、速やかに除菌治療も行います。
心当たりがあれば、
胃カメラ検査を
一度受けてください
- 健診などのX線バリウム検査の結果から詳細な検査をすすめられた
- ピロリ菌の感染が疑われている
- 過去にピロリ菌の除菌治療を受けていた
- 長い間、胃の不調(みぞおち周辺の痛み、胃もたれ、胸やけ、吐き気 等)を訴えている
- 家族に胃がんの患者様がいる
- 食欲が減退している
- これまで胃に何の症状もなかったが40歳を迎えた など
胃カメラ検査で
発見されやすい病気
胃がん、食道がん、胃・十二指腸潰瘍、胃炎、逆流性食道炎、食道裂孔ヘルニア、ポリープ(食道、胃、十二指腸)、食道・胃静脈瘤、胃粘膜下腫瘍 など
経口と経鼻
上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)では、口から挿入するタイプと鼻から挿入するタイプの2種類があります。
当院では、どちらも選択可能となっており、検査の予約を入れる際に決めていただくことになります。
それぞれの特徴は次の通りです。
経口内視鏡
口から挿入するタイプは従来から存在するもので、スコープの径は8~9㎜程度です。
検査中は、舌の根にスコープが触れることになるので、嘔吐反射が出るようになり、息苦しくなります。
そのような思いをできるだけ低減させるために検査前に鎮静剤を投与します。
これによって意識が薄らいだ状態で検査を受けられるので、苦しさがわかりにくくなります。
メリットとしては、鮮明な画像による検査が行えるので病変を発見しやすいということがあります。
また、止血の処置やポリープ切除といった内視鏡による治療ができるというのも経口タイプの利点です。
経鼻内視鏡
左右の鼻孔のどちらかより内視鏡を挿入していくタイプで、スコープの径は約5~6㎜と細い仕様になっています。
この場合、舌の根にスコープが触れることはなく、嘔吐反射はあまり出ることはありません。
そのため、検査中に鎮静剤を投与しなくても受けられます。
また検査時は口呼吸となるので、医師に何か気になることがあれば話しかけることもできます。
なお経鼻内視鏡はスコープの径が細いこともあって、画質を気にする方もいますが、同機器も日を追うごとにCCDの性能も向上しており、現在は経口内視鏡の画質と比べても見劣りすることがないクオリティまで進んできています。
ただ経鼻内視鏡を希望しても、鼻の違和感が非常に苦手な方、副鼻腔炎や鼻中隔弯曲症など鼻に疾患がある方、アレルギー性鼻炎で炎症がある方、先天的に鼻孔が狭い方につきましては、経口内視鏡による検査をおすすめすることがあります。
胃カメラの費用
- 胃カメラのみ
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- 1割負担
- 約2,000円
- 3割負担
- 約5,000円
- 胃カメラ+病理組織検査
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- 1割負担
- 約3,000円
- 3割負担
- 約10,000円
検査の流れ
検査希望~当日の朝まで
胃カメラの検査を希望される場合、まず一度外来(消化器内科)での診察を行います。
その際に過去の病歴や家族歴、現在の健康状態、常用薬の有無などもお聞きし、同検査を受けるにあたって支障がないと医師が判断すれば、検査日時の予約を行います。
また感染症の有無を調べるための血液検査を行うこともあります。
検査前日は、21時までに夕食を終え、以降は絶食となりますが、飲み物に関しては水やお茶等であれば制限されることはありません。
起床後も検査を終えるまでは食物は口にしません(飲み物は水やお茶であれば可)。
常用薬につきましては、事前に医師から受けた指示に従ってください。
また、鎮静薬を使用される場合は、ご自身による当日の運転(車、バイク、自転車 等)はできません。
そのため来院時や帰宅時は、公共交通機関を利用ください。
当院についてからの検査の流れ
院内到着後の流れですが、まず受付をしてから、医師もしくは看護師から問診を受けます。
検査にあたって問題がないことを確認後、検査の準備をしていきます。
検査時のおおまかな流れは以下の通りです。
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- 1.消泡剤を服用する
- 胃の中を観察しやすくするために消泡剤をのみます
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- 2.麻酔・鎮静剤の投与
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検査を行うにあたって麻酔を投与していきます。経口であれば、リドカインを喉に塗布あるいは噴霧します。経鼻の場合は、鼻腔や鼻粘膜に(リドカインの)スプレーを噴霧したり、ゼリーを塗布したりします。
また鎮静剤を使用する際は、この時点で投与します。
このほか、胃の蠕動運動を抑えるために抗コリン薬を注射することもあります。
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- 3.検査開始(内視鏡挿入)
- 検査台で寝ながらの検査になりますが、この場合は左側を下(左側臥位)にして横になります。経口内視鏡の方はマウスピースを加えます。
内視鏡を挿入し、咽頭、食道、胃、十二指腸の順番で、内部の様子を観察します。
なお経鼻内視鏡であれば、検査中も質問や違和感などがあれば医師との会話も可能です。
また経口内視鏡では、口の中に唾液が溜まっていきますが、これは飲み込まずに口の横から流し出します。
検査中に病変が疑われる組織があれば、一部組織を採取し、顕微鏡で詳細を調べます。
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- 4.検査終了
- 観察のみの場合は5~10分程度で終了します(個人差はあります)。
ただ検査終了後も麻酔や鎮静剤の影響が残ることがあるので、30分~1時間程度は院内で休憩を取っていただき、その後はご帰宅となります。
検査後の注意点
検査終了後もいくつか注意点がありますので、以下のことも気に留めておいてください。
- 食事は検査を終えた1時間経過後が目安です。その際は、まず水を飲み、むせることがないことを確認してから召し上がってください
- 生検を行った後の飲食については、医師の指示に従ってください
- 検査後、2~3日は消化の良い食べ物を選ばれることをおすすめします。またこの間は、刺激の強い食べ物やアルコールは控えるようにします
- 検査当日は、ご自身の運転(車、バイク、自転車 等)による外出はやめてください