当院では、診断をつけるために必要とされる検査として、主に以下の医療検査機器を使用しています。
内視鏡検査
超音波検査(エコー)
人の耳では聞き取れないとされる高い周波数の音波を超音波といいます。
この超音波を検査したい部位に向けて、超音波診断装置から送信し、そこから返ってくる反射波(エコー)を同装置が受診し、コンピュータ解析を行ったりすることで、見たい部位の臓器の様子や病変を確認するのが超音波検査です。
検査にあたっては、超音波を送信したり、反射波(エコー)を受信したりするために探触子(プローブ)を使用しますが、その際に体表を滑りやすくするため、検査部位にひんやりした感触のゼリーを塗布していきます。
臨床検査技師の指示に従い、息を吸ったり止めたり、体位を変えたりしていきます。
腹部超音波検査であれば、時間は15~20分程度です。
この場合の検査対象となるのは、肝臓、胆のう、膵臓、腎臓、脾臓、消化管などです。
同検査は、わずかとはいえX線撮影のように、放射線に被ばくするなどのリスクはありませんので、妊婦健診にもよく用いられます。
CT検査
Computed Tomographyの略称で、コンピュータ断層撮影とも呼ばれます。
この場合、様々な角度(360℃方向)からX線撮影が行われるのですが、検査を受ける際は検査台で仰向けの状態になります。
検査時にかかる撮影時間については、10~15分ほどになります。
検査台ではドーナツ状の装置が回転しながらX線撮影を行いますが、その中を検査台が行ったり来たりすることで、断層撮影が可能となります。
これら撮影データというのは、コンピュータによって再構成されることで、まるで人体を輪切りにして見ているかのような立体的な3D画像として見ることができるようになります。
これによって、体内の臓器や消化管の様子を確認することができるほか、血管の状態や病変をはっきり確認したいという場合は造影剤を使用することもあります。
単純X線撮影(レントゲン検査)と比較すると、放射線被ばく量というのは多くなりますが、それほど心配するものではありません。
ただし、胎児は放射線の影響を受けやすいといわれているので、妊婦さんや妊娠の可能性があるとされる女性につきましては、一度ご相談ください。
ピロリ菌検査
ヘリコバクター・ピロリがピロリ菌の正式名称となります。
これは胃粘膜に生息する細菌ですが、そもそも胃内というのは強い酸性環境にあります。
したがって本来は生物にとって生きにくい状況にあるわけですが、ピロリ菌は胃などが成長途上にある乳幼児期に親などのピロリ菌感染者との食べ物の口移しなどによって感染するのではないかといわれています。
その後、胃内に侵入したピロリ菌は、ウレアーゼと呼ばれる酵素を分泌するのですが、これが胃内の尿素を分解し、アンモニアを生成することで酸と中和させ、生きながらえるようになるのです。
感染が長期に渡って持続すると、慢性胃炎や胃・十二指腸潰瘍の原因となるほか、胃がんの発症リスクを高めることにもつながるので、ピロリ菌の感染が疑われる場合は、速やかに検査を行い、感染が判明したら速やかに除菌治療を開始してください。
当院では、ピロリ菌検査を行っており、種類としては大きく内視鏡を使う検査と内視鏡を使用しない検査があるのですが、どちらにも対応しております。
内視鏡を使用する検査
上部消化管内視鏡(胃カメラ)を用いて行います。
検査方法としては3つありますが、まずは胃カメラにて胃粘膜の一部を採取します。
それぞれの検査の特徴は次の通りです。
- 迅速ウレアーゼ試験
- 採取した胃粘膜組織に特殊な反応液を利用し、それによる色の変化でピロリ菌感染の有無が判明します。
- 培養法
- 採取した胃粘膜をすりつぶし、発育しやすい環境下で5~7日間程度培養して、同菌の増殖の有無を見て判定します。
- 鏡検法
- 採取した胃粘膜にピロリ菌が含まれているか否かを顕微鏡によって調べていきます。
内視鏡を使用しない検査
内視鏡を用いないで感染の有無を判定する検査については以下の通りです。
- 抗体測定法
- ピロリ菌に感染した際に作られる抗体の有無を調べることで判定をつける検査です。この場合、尿や血液を採取することで判明するようになります。
- 尿素呼気試験法
- 特殊な薬剤を服用し、15~20分後に呼気を採取します。その中に含まれる二酸化炭素の量を測定することで感染の有無を判定します。
- 便中抗原検査
- 便を採取し、その中にピロリ菌の抗原が含まれているどうかを調べることで感染の有無を判定します。
検査の結果、ピロリ菌に感染していることがわかれば、速やかに除菌治療が行われます。
この場合、胃酸の分泌を抑制する効果のある薬1種類と2種類の抗菌薬を1日2回、1週間限定で服用します(一次除菌)。
服用を終えた日から1ヵ月程度経過してから除菌判定の検査を行います。
成功率は80%程度といわれていますが、除菌されなかった場合は二次除菌として再び1週間限定で3種類の薬(抗菌薬のひとつは一次除菌薬とは違うものに変更)を服用し、服薬終了後の1ヵ月後に再び除菌判定の検査をします。
なお一次除菌と二次除菌を行ったうえでの除菌成功率は、約97~98%といわれています。